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藤堂が九条家に入った時、輝の目は まるで切れたナイフのように 殺意がこもっていた。
その輝の心を開かせたのが藤堂であり、輝の心の寄り処・生きる理由を作ったのも藤堂である。
故に、その藤堂が輝本人の前からいなくとどうなるか?
最初の発作は、藤堂が小学校通学時に起きた。
藤堂が九条家に帰ると、家中が散らばり、居間には血まみれの輝が寝ていた。
次は、藤堂が国防中学時代に。
世話役の女に重症を負わせた。
医者の話では、[重度の若年性PTSDによる藤堂に対する重度の依存性]という診断結果が出た。
暴れたのは藤堂がいなくなったため、世話役の女を殺そうとしたのは、その世話役の女が藤堂の世話もしていたため。
改善策はなく、九条は藤堂と輝が一緒に居れる時間を増やすことしかできなかった。
その後、まるで藤堂を追うかのように輝も国防中学、国防高校、国防大学へと進学。
今に至る。
九条「京都には、俺から報告しといてやるから、今日と明日は アイツの元にいてやれ」
藤堂「はっ!……ところで、九条さんは?」
九条は、ばつが悪そうに頭を掻いた
九条「俺はいいさぁ!
血がつながってないとはいえ、自分の子をお前さんに任せるような馬鹿親は!
それに、北日も慌ただしいしな。」
藤堂「そういえば、先程 朝比奈3陸佐とか言う怪しい女佐官に会ったのですが…。」
九条「あぁ、アイツに会ったんなら話は早い。
明日から、お前も特務S課に引っ張るから、その気持ちでいてくれ」
藤堂「はあ…。
それより、あの女佐官もしかして………。」
九条「上からお墨付きのエリート様だ。
気をつけろよ。
あぁ、見ても 棘がある。
ま、家に帰れば帰るで 抜き身の刃が待ち構えてるから、変な真似もできないだろうけどなぁ!」
……このオヤジは…。
……まあ、明日からは今までのような引きこもり暮らしはできないか。
藤堂はなんとなく、今までの生活に慣れてしまったことを惜しんだ。
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