第0-1章~軍人として、兄として、男として

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翌日…。 藤堂は、瞼の下にクマを作りながら府中統合司令部へ向かう道を歩いていた。 …輝の奴、昨日 少しも寝させてくれなかった…。 藤堂が九条家に帰ってからというもの、まるで5年分話すかのように輝は、目を輝かせて藤堂に話していた。 藤堂本人は、眠くて眠くて 輝の話の9割は左耳から右耳という感じだったが、当の輝本人は、関係ないように話していた。 藤堂「まあ…仕方ないか」 藤堂は疲れたようにボソッと呟いた。 いつしか、この「仕方ない」が藤堂の口癖になってしまうのであった。 重たい足と体に、仕方ないと言い訳しながら ようやく府中統合司令部20階 特務S課の部屋にたどり着いた。 IDカードをかざし、部屋の自動ドアが開くと、中には 5年前 府中特務機甲教導隊時代、自分が世話をした…つく…なんとか1等陸曹と、朝比奈3等陸佐が暇そうに雑談していた。 藤堂は、とりあえず姿勢を正し朝比奈に向けて敬礼をした。 藤堂「藤堂特務2等陸尉、昨日 九条陸准将から辞令を受け、本日付けマルハチマルマル、特務S課に着任致しました!!」 朝比奈はつく…なんとか1曹と話すのを止め、藤堂の方を左手で髪を払いながら、見つめ微笑んだ。 朝比奈「おはよう、藤堂君。 固っ苦しい挨拶はいいから、朝ならやっぱり爽やかな挨拶でしょ?」 藤堂「は…はぁ…。」 朝比奈「まっ、いいわ。 とりあえず、椅子に座って。」 藤堂は、とりあえず椅子に座ろうとした。 椅子に座ろうとした瞬間、横にいた つく…なんとか1曹が藤堂に慌てて声をかけた。 つく…なんとか「藤堂2尉じゃありませんか!? お久しぶりです! お荷物拝領致しますっ!」 と、言うと藤堂の右手の荷物をやや強引に持った。 礼を言おうと思ったが、肝心の名前が出てこない。 …誰だっけか、コイツ?
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