35人が本棚に入れています
本棚に追加
1945年8月8日 午前3時14分 東京都近郊 居酒屋[十六夜 2階]
3月9日の東京大空襲によりほぼ灰塵と化した帝都・東京。
その近郊の寂れた居酒屋 十六夜の2階で二人の軍人がお互いの思想をぶつけ合っていた。
海軍大佐「公卿!いい加減、目を覚ませ!!
それが、天皇守護を司る近衛兵の言葉か!!」
陸軍大佐「まだ解らぬか、藤堂!!!
傀儡と化した天皇に、一体なんの意味があるのだ!!?
天皇を新たに創り、国体維持のための継戦、帝国軍人としての精神を守護する!
それが先に散って逝った英霊達の慰めになると、何故解らぬ!!!」
藤堂 京清 海軍大佐[当時 35歳]、公卿 義信 陸軍大佐[当時34歳]。
二人は大戦前、無二の親友であった。
その親友の仲を切り裂いたのは太平洋戦争である。
相次ぐ惨敗に嫌気が指した藤堂と、活気付く青年将校達に日本帝国軍人精神の模範と判を押された公卿。
二人の軍人は、かつての親友という仲を忘れたかのように、ただ一人の軍人として罵声を浴びせ続けた。
最初のコメントを投稿しよう!