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二人の話を聞き、此処が京で新撰組の屯所であることが分かった。
目の前にいるのは、新撰組副長“土方歳三”と一番組組長“沖田総司”であるらしい。
「で、こっちは話たんだ。お前も話せ、…何者だ?」
土方が先程の吃りが嘘の様にいころす様な目で尋ねる。
「貴方、一刻ぐらい前に急に現れたんですよ、…桜からね。」
沖田もふざけたりせず、わきに置いていた刀をいじりながら言う。
返答次第では…と言う事だろうか。
「…桜からですか?」
尋ねて桜葉は考える。
桜は狂咲家が“道”として使う交通手段だ。
しかし、かなりの力がいる上、自刃しようとしていた自分が、当然ながら“道”を使うはずがない。
と言う事はあの人…桜様が此処まで道を繋いだ事になる。
此処で殺されるのも良い…と思ったが桜様が考えもなく此処へおくるわけもない。しかもあんな事を言われては…
「…実は、私…」
死ねるわけがない
とは言え何と言おう。
下手な返答ではバッサリいかれてしまうし、何より本当の事を話すには非現実的過ぎる。
狂咲家では常識でも、外では常識外なのだ。
「私…、桜の精なんですっ!!!」
我ながら下手な嘘に涙が出そうになった。
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