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少女は、その鴉の濡れ羽の様な美しく長い黒髪を小さく揺らすと、目を開け、小さく呟いた…
「仕方が…、仕方がなかったのでございます…」
少女は、掠れた、寂しそうな声で、桜の巨木に向かいそう言うと再び刃を構えた。
『待て、そなたの死に場は此処ではない』
「しかし、私には帰る場所がもう無いのです」
刃を構えながら少女は言う
『あんな仕打ちを受けてもまだあの場を帰る場所と言うか…』
「あんな場所でもわたくしの大切な居場所だった故…」
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