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夜、雪の降る中、一人の青年は何かから逃げる様に縁側をトタトタと走っていた。
時々、後ろを振り向きながらクスリと笑う。
その姿はまるで悪戯をし、大人から逃げる子供の様だ。
「も~…土方さんってば“いつも”の事なんだからあんなに怒らなくても…」
と白い息をはきながら呟けば、後ろの方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「総司~っ!!!」
夜だと言うのにお構い無しに叫ぶそれは、段々と総司と呼ばれた青年に近づいて来る。
「土方さ~ん、そんなに大きい声だすと、隊士の皆さんの安眠妨害ですよー」
「総司っ!!!そこかっ?!!」
返せーと叫びながらこっちへ向かって来るそれに、クスクスと笑いながらも走るが、桜の木の前でピタリと足を止めた。
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