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公園は全然変わっていない。
前……前といっても
ここに立ち寄ったのは
相当久しぶりな感じがする。
いつ立ち寄ったのかすら
覚えていない。
雑草は伸びきり
花壇には相変わらず
何も植えておらず
子供が作ったと思われる
土の城があるくらいだった。
『俺』は木造のベンチに座る。
遥が『俺』の右側に座る。
「こーやって二人で隣に座るの、久しぶりに感じしない?」
「そうか?」
『俺』は考えた。
いつも一緒にいたが
確かに落ち着いて
こうやって二人で座るのは
久しぶりかもしれない。
「で、本題とやらは?」
「おっと、そうでしたぁ」
遥は両腕を上に上げ
背伸びをした。
ふ~っと息を吐くと
大きな瞳でこっちを見つめてきた。
「な、なんだよ?」
流石の『俺』でも
ドキッとしてしまうが
これは男の性であり
けして恋とかではない。
断じてない。
「亞流斗、部活どーするの?」
「部活……?」
部活の事が
ここに来てまで
話したかった事なのか?
「野球部じゃないかな。部活見学して決めるけどな」
「本当に野球部でいいの?」
「どーいう意味だよ?」
遥は物を言いにくそうに
唇を軽く噛む。
ただ
眼差しは真剣な表情をしていた。
「亞流斗……本当は亞流斗、音楽やりたいんじゃないの?」
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