運命の一目惚れ

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「保坂…先生」 「どうした?」 「あの…迷っちゃって」 「え?」 「…」 うわ~、絶対方向音痴だと思われてる~?! 「…神のお導き?」 「え?」 「あ…いや…」 首を傾げると、保坂先生は 「?!」 顔を背けた。なぜ? 「同じ所に行くんだから一緒に行こう」 「あ…はい!」 今程、方向音痴で良かったと思わなかった。 あ、いや、方向音痴じゃないけど、そう思わずには居られなかった。 一年のクラスは同じフロアにある。 F組の子とはぐれてしまったとしても、他の新入生の子に着いていけば、迷わない。 それに、誰かは居る筈だから声を掛けて聞けばいいのにしてなかったみたい。 偶然会えて良かった。 一目惚れしてしまった時から神は私に味方してくれている。 そう思わずには居られなかった。 「…」 でも、その反面、私はこうも思う。 私は男に恋愛感情を持たない。女が好き。なのに、私は男の子の彼に一目惚れしてしまった。 しかも、彼は生徒。これから教え子になる。 果たして、この想いは持ってはいけないだろうか。 一目惚れしてしまったが、本当にこの気持ちを抱えていいのだろうか。 今、判る事は 一目惚れしてから数時間経つが、益々、井上君を見ると愛しさが溢れて来る事だ。 .
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