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「先生~」
陽一の自己紹介が一通り終わったら、一人の女生徒が手を挙げた。
「何ですか?」
「先生は彼女居ますか~?」
ドキッ
「…」
一応お決まりの質問。去年も受け持った生徒に聞かれた。
その時は交わしたが…
「…居ません」
動揺して居ない事を告げた。
まあ、今は居ないんだが、そういうのを言ってしまったら
「先生!私、立候補していいですか~?」
などとふざけた事を言うのは目に見えていた。
『先生…彼女に立候補して良いですか?』
もし、井上君だったら…
……
………話は別。
と、陽一は苦笑い。
「先生は彼女居ますか?」
ドキッ
深雪は斜め前の女子が放った言葉に動揺した。
先生…彼女居るのかな?
…
……
………居るよね?
あんなに格好良いんだもん。
居ない筈は…
「…居ません」
え?居ない…?
先生、彼女居ないの?
不謹慎にもホッとしてしまった。
居たら、即、失恋。
「先生~!私、立候補していいですか~?」
他の女生徒が言った。
私も!とまた違う他の女生徒も言った。
ーーー先生の彼女の立候補…
羨ましい。ボクは言えない。
だって、男の子だから。
一目惚れしても、叶わないから。
『ボク…先生の彼女に立候補したい』
なんて、口が避けても言えない…
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