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「…君、新入生?」
二人して固まっていたが、先に話したのはこの男性だった。
「あ…はいっ!」
「…そう」
この男性は一回目を反らしてから、再びボクを見て
「私はここの教師で保坂陽一だ」
保坂陽一…さん。教師なんだ…
「君は?」
「あ…ボクは井上深雪です」
「井上深雪?」
「は…はい」
ボク、今、どんな顔してるかな?
彼、保坂先生を見てたら益々ドキドキしてきたんだ。
「そう。井上君、か」
「保坂…先生?」
保坂先生の手がボクに近付いて来て
「井の…」
ピンポンパンポンッ♪
「…そろそろ教室行かないとな」
「あっ?!」
ヤバい!入学式早々、遅刻する?!
「し…失礼します!」
ボクは全力疾走で一年F組に向かった。
「…」
陽一は浮いてる右手を見て
「ヤバいな」
私はこの右手で彼、井上深雪君に触ろうとした。
彼に触れたかったんだ…
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