イチゴドロップ

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二人だけの道を歩く。 無言の時間… 隆良は私に歩幅を合わせてくれている。 この優しさだけは8年前となにも変わってない。 「いつこっちに帰ってきたの?」 ドキドキしながらも私は口を開いて隆良に質問を投げかける。 「丁度一ヶ月前 今は一人暮らし。」 「高校生で!?大変だね 親御さんは?」 「親達置いてきても どうしてもまたここに来たかったから」 そういって遠くを見つめる隆良。 それはどこか意味深で。 …なにか理由でもあるのかな 「でも まさかまたカノンに会えるとは思ってなかった」 「あたしも…隆良にはもう会えないと思ってた」 本当に…逢えないと思ってたんだよ。 でも隆良のこと忘れる日なんてなかった。 「隆良…変わったね」 「そう?」 「う…うん なんというか大人っぽくなった」 っていうよりもなんかちょっと冷めた? 「カノンも変わったよ」 「え?」 「変わった」 そういって隆良は口を閉じた。 変わってないよ 変わってないよ 隆良 隆良を思う気持ちは8年前とずっと変わらないよ。 私は隆良じゃないとダメなんだ。
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