パインドロップ

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「しっかし…日直ってものはとても面倒くさいものですなぁ」 お菓子を食べながら日誌を書いている私に向かって詠美がいう。 「うちなんて全部パートナーの子に任せちゃうからな~ カノンは真面目だねぇ」 今度はキャラメルの袋を開けながら詠美がいう。 でも、今考えてみれば日直というものはとても大変だ。 朝早く来て今日の授業の準備をし、 日誌を丁寧に書き、 授業が終わるごとに黒板を消し、 夕方まで残って教室を隅から隅まで掃除をする。 「朔良もちゃんとカノンを手伝ってあげなさいよー! サボってたら怒るからね!」 私のパートナーの坂下にダメだしを入れている。 「わかってるって」 坂下はそう一言だけ言ってまた本をよみはじめる。 「キー!!言ってるそばから手伝ってないしッ!」 「いーよ いーよ 詠美」 坂下朔良(さかした さくら)とは私の隣の席の男子で、詠美の幼馴染。 ケンカばっかりしてる二人だけど、実は結構仲良しで まぁ、世が言う「イヤよイヤよもスキのうち」ってやつ。
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