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隆良が私を呼ぶ声を聞いて、たまってた気持ちが破裂したようだった。
「なんで…なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」
私の瞳からはもう涙が溢れ出ていた…
「言い出せなかった。」
そう一言だけ言って隆良は私から目をそらした。
「僕が転校することをみんなに言って、皆の僕に対する態度が変わるのが目に見えていたから」
「でも…話たいことだっていっぱいあるし!
隆良と一緒に見に行こうとしてた映画だってあるし!
もっともっと二人でいろんな楽しいことして…」
止まらない涙と言葉。
寂しさと悲しみ、その気持ちが心の中であふれ出して、涙が何滴も落ちる。
「…ごめん」
「隆良の…バカ!!!」
鳴り止まない思いに勝てなくて、私は音楽室を飛び出した。
「カノン!!」
私を呼ぶ隆良の声さえももう耳には入らなくて。
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