プロローグ

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「あら~すごい熱ねぇ」 39℃と表示された体温計をもったお母さんが驚きながら私に言う。 私は声も出ないまま大きく呼吸を繰り返していた。 この辛さは熱のせいなのか、それとも昨日のせいなのか。 「どうして傘も差さずに帰ってきたの!?」 「・・・」 上手く受け答えができない。 「とにかく、ちゃんと寝てなさいよ」 「う…ん」 高熱で学校に行けるわけもなくて、隆良が学校に来る最後の日に登校することさえも出来なかった。 部屋のドアが突然開いた。 「カノン」 お母さんが私を呼ぶ。 「隆良君が来てくれたわよ」 「え!?」 「お引越しの準備が忙しいからっていって帰っちゃった。」 「…そうなんだ」 嬉しい気持ちも一瞬で悲しい気持ちに変わってしまった。 「これ 預かっておいたわよ」 母が手渡したのは折り紙と2つ折りにされて手紙だった。
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