「ヤンキー娘は迷路が苦手」

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「なあ、やっぱり突然行ったら迷惑じゃねえか?」 「大丈夫ですよ。一人暮らしですから。」 「お前!高校生で一人暮らししてんのか?」 「アハハ、うち兄弟が多いので騒がしくて…」 「ふつう、兄弟が多いところって貧乏じゃねえか?」 「父が銀行マンですから。それに、一人暮らししてるのはボクだけですし。後は姉さんが2人ほど結婚して家を出たぐらいですね。」 (…って、よく考えたら一人暮らしのところに行くのは逆に危なくねえか?) 「え?何か言いました?」 「い、いや。」 (まあ、いざとなったら殴りゃ済む話だな。) そんな物騒な事を考えている内に、エレベーターが速度を緩め、チンと扉が開いた。 「さあ、どうぞ。」 「お、お邪魔します。」 「はい、いらっしゃいませ。すぐお風呂沸かしますから、お湯が溜まるまでシャワーでも浴びてて下さい。すぐ入れると思いますから。」 「あ、ああ悪いな。」 頭からシャワーを浴びてわしわしと頭をすすぐ。殴られた傷にお湯が染みたが、そんな事より、冷えた体に温かいお湯は気持ちよかった。 「風呂はちょっと小さいけど綺麗にしてんだな。」 女子の中では身長が高い園田は、足を曲げなければ入れない浴そうではあったが、深さはある程度あって肩までゆっくり入れる。鼻歌を口ずさみながら浴室内を見渡してみた。 こまめに掃除をしているのか、壁までキレイで、置いてある物が少ない。 (うちと全然違うな・・・。) 思い出してみると、整髪料だの、シャンプーにリンスに洗顔料が2本ずつ。ひげ剃りフォームに育毛剤まで・・・ 「園田さん」 「うわっ、な、なんだ?」 曇りガラスの向こうに佐々木の姿が見えて、慌てて首まで湯船に浸かる。 「服、洗っておきますね。着替えはここに置いておきますから。」 「ああ、悪いな。」 「いえいえ。」 それから十数分後・・・・男物の服に着替えた園田が飛び出してきた。 「お、お前!私の下着どうした!」 「え?洗いに出しましたよ?どうせなら一緒にと思いまして。あ、替えの下着、サイズが合いませんでしたか?」
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