12人が本棚に入れています
本棚に追加
「確かにちょっと大きかったけど、なんでこんなのあるんだよ?」
「たまに姉が泊まりに来ますから。着替えを置いていくんですよ。」
「で、私の下着はどこにある?」
「今、洗ってもらってますから、あと一時間ぐらいすれば返ってきますよ。」
「あ、洗ってもらってって誰かに頼んだのか!?」
「制服に血が付いてたのでクリーニングに出しました。一階にクリーニング屋があるんですよ。終わり次第持ってきてくれることになってます。」
「そ、そうなのか。なんか悪いな。高いんだろ?」
「ああ、気にしないで下さい。それより、お腹は空いてませんか?」
「ちょっと、空いてる。」
なんて、少しずれた2人の時間は、佐々木の作った手料理を食べながら過ぎていった。
次の日・・・
「おい、これから用事あるか?」
そう声をかけられたのは昼休み。園田から話しかけられたのは初めてだった。
「え?いや、お弁当食べて本読もうかなって思ってたぐらいですけど。」
「ちっと、弁当持って付いてこい。」
「えっと、はい。」
教室から出て行く際、どうしたのか分からず、言われたまま弁当を持って付いていく佐々木に同級生からは「ついに目を付けられた」なんて同情的な視線が向けられていたのだが、
そんな事には気づかず、佐々木は園田の後をついて行くまま校舎の外へ出ていた。
学校の裏にある非常階段、そこまで行くと園田は階段へと腰を下ろした。
「何かご用でしょうか?」
「まず、隣に座ってくれ。」
「はぁ。」
佐々木が座るのを待って、園田が話し始める。
「あの、えっとな、」
「はい?」
「コレを・・・食え。」
そう言って差し出された物はラップに包まれた厚めのパンだった。
「食パン・・・ですか?」
「・・・・食べて、欲しい。」
「?いただきます。」
ずいぶんグルグルと巻かれたラップを外して一口、
「ああ、サンドイッチだったんですね。美味しいです」
「そ、そうか!」
「ハムとレタスって好きなんですよ。」
最初のコメントを投稿しよう!