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「悪いけど、あたし人多いのは…」
「大丈夫!あっちで見れるから~」
まみが指差した先には、恐らくステージ裏に繋がるだろうドア。
「うちの親、理事長やってて、お兄ちゃんは軽音部の部長やってるの」
「へー。」
だから裏口行っても大丈夫ってことか。
納得出来て足を進めようとしたが、何故かピタリと止まってしまっているまみ。
「どうし…」
「なんで!?それだけ!!?」
あり得ない、といった具合に目を見開かれると逆に困ってしまう。
「…凄いね、とか媚び売ったり、ひがんだりとかしないの?」
「…別に興味ないから?」
「!!」
別に普通のことを言っただけなのに、まみは心底驚いた顔をした。
それが不思議で首を傾げていると、
「……ごめん、何でもない!行こーうっ」
照れたように微笑んだと思ったら、満面の笑みを浮かべてまた私の腕をひきはじめた。
…よくわからなかったけど、さっきよりまみの顔が嬉しそうで、なんだか良いことをした気になった。
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