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「いやぁッ!」
「ちぃッ!」
鮮やかな虹色の弾幕を目くらましにした回し蹴りを、私は急降下で回避する。
だが当然、相手は一手で終わらせはしなかった。勝負を決定づけるべく、一気に畳み掛けてくる。
「彩雨!」
雨のように降り注ぐ弾幕の嵐。
当たれば幸いというような、狙いも何も無いばら撒き。
だが先程の一撃で知っている。あの門番の弾幕は囮に過ぎない。本当の狙いは、この後に来る。
どのような術式か知らないが、空気を蹴り飛ばしての跳躍。そこに全くの魔術的要因は感じられない。もしや体術の一種だとでも言うつもりなのだろうか。
「舐めるなぁ!」
直線的な軌道。だが甘い。
こちらへと距離を詰めてくる相手に対し、私は弾幕を展開する。単調な迎撃ではなく針と札の二種類。虚実入り交じった厚い弾幕。
取った――――!その確信はしかし絶望によってかき消される。
「雷王震脚!」
弾幕を回避するべく門番がやってみせた軌道は、空中で四段の跳躍。
なんだアレは。だが驚いている暇など有りはしなかった。
肺に空気を送り込み、私は全力で地面を離れるべく跳躍する。その一刹那後。
「闖少林!!」
先程まで私が立っていた床石を門番の拳が砕く。砕かれた床石の破片が私の背中を打ったが、足を緩めるわけにはゆかない。射程外に逃れなければ追撃が来る。
あと一秒の半分でも遅ければ、私が木っ端微塵になっていたところだ。
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