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「この小林拳第一式を避けますか」
「まったく、あなた何者?」
「普通の人ですよ」
そんなわけあるかと口に出したかったが、それはばらまかれた弾幕の射程外へ逃れる為に言い損ねた。
相手は馬鹿の一つ覚えみたいに単純な戦法を繰り返してくる。だけれど破るのは中々に困難だ。
密度のそれ程高くない弾幕を囮として接近。格闘戦で仕留める。弾幕を見くびり、こちらも回避しつつ応戦した場合はあの拳に撃ち落される。
先程のように弾幕を無視して、敵が迫る場面を待ち構えても軽々と回避されてしまう。
厄介だ。湖を越えてやっとのことで元凶の島に辿り着いたのに、そこへ踏み込む前にこんな障害に出会うとは。
「あなたこそ何者ですか?普通の人には見えないけれど」
言いつつ、門番は距離を詰めてくる。
先程までとは違い、弾幕が薄い。何故だ――――何を企んでる?
だが敵の手管を警戒して何もしないわけにも行かない。
回避か防御か迎撃か。
私はその中で防御を選択する。所詮は消去法的な選択であるけれど、悪くはない筈だ。
「結ッ!!」
門番の侵攻ルートへ、結界を幾重にも敷設する。
避けるのであれば攻撃の機会を逸する。打ち破るにしても、博麗の結界。そう簡単には破れないはずだ。
結界を迂回するようであれば、その移動先に弾幕を撃ちこめばいい。結界により移動ルートは大きく制限されるのだ。先程のような四段ジャンプは封殺できる。結界を破壊するにしても、一秒ニ秒でどうにかなるものではない。
その程度の時間があれば、十分な規模の封魔陣を展開することが可能だ。
さぁ、どう出る?
「本当、普通の人ではないですね」
「あら私は巫女をしている普通の人よ」
「それは良かった。本気を出せます」
「――――?」
「巫女は食べてもいい人類だって言い伝えが」
「言い伝えるな!!」
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