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門番の選択は結界の破壊。彼女は結界へと、軽く拳を触れる。
舐められたものだとその選択を嘲笑いながら、私はスペルカードを取り出して封魔陣の展開を開始した。
だが――――。
直感は告げる。逃げろと。この紅い庭の空気が変わっている。
大地が脈動しているように感じる。
このまま封魔陣を展開すればこちらの勝利は確実だ。封魔陣の一撃で勝負は決する。
みすみす勝機を逃すのか?
だが私が相手にしているの何なのだろうかと、一瞬考えてしまった。馬鹿な、ただの妖怪じゃないか。
だけれど鼻をつくのは、何の香りだ?
「地を這う蜥蜴、水を得て昇竜となる」
堪え難い獣の香りがする。
逃げたい。だが今更引くわけには行かない。すでに封魔陣は発動し始めている。あと一秒で勝負は決するのだ。
一秒で博麗の結界が破られるはずがない。
「封魔陣ッ!!」
「是即背水之陣」
生暖かい風が私の心臓を撫でる。恐慌に陥りそうになる。
だけれど耐える。目の前の恐怖に耐え、勝利を手にする。
瞬きの間のはずなのに、数時間にも感じられた刹那の後、幾何学模様が庭を覆う。
封魔陣が発動する。あらゆる歪みを是正し、あるべき場所へと全てを戻す術式。
「――――ッ!」
先程までの恐怖は消え去る。心臓を握られていたような感覚は消え去り、結界に絡め取られる門番が目の前に居るだけ。
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