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魔法科学文明は、今や世界の九割を破壊した。
たった一発の小型爆弾――その爆発は、一瞬にして大陸一つを吹き飛ばした。
プラズマ化された大地は、大量のコペルニシウムと化し、地球の半分に降り積もった。
その放射能は莫大で、大気の内はγ線と中性子線の飛び交う毒気の地獄と化した。
爆発で生まれたエネルギーはそれに留まらず、帝王星の内核対流を乱し、プレート運動を混乱させた。
大地は大多数が粉々に砕け散り、海洋もその運動に翻弄され、その流れは不規則化していった。
そして、歪んだ地殻対流は、やがて地磁気をも大きく捻じ曲げた。
大気は最早見る影もなく、電磁波を浴びて凶悪な程の雷雲が形作られた。
そのあまりの威力に、世界中の都市が炎上、人類のいた痕跡など、微塵も残さなかった。
それでもなお、人類はしぶとかった。
かつての世界連盟本部のあった国、クリスティア。
爆発の対蹠点にあったこの国は、辛くも難を逃れていた。
集積された英知は、電磁シールドや放射線除去装置などでこの国の中枢を覆い、さながら生命の為の砦のような様相であった。
世界中から集まる被災者。
その膨大な人数に、この国は地下へと膨張していった。
日が届かずとも、地上の汚染の届かない地下は、またとない安全地帯であったのだ。
かくしてかつての世界人口の三割を呑み込んで肥大化していったクリスティアは、その残された人類の活きる希望を映し、希望の国『エスペリオ』の名を冠するようになった…
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