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「ま、待っ……」
「ん?どうした?お前も千春を犯したいのか?」
「……俺が、代わるから……」
「ん??」
「俺が……あんたの相手をするから……千春には手を出すな……」
千春は俺が認めている唯一の家族だ。
彼女には幸せになってもらいたいと思うし、彼女が幸せになれるよう、守ってやりたいとも思う。
だから、俺は言った。
「……その言葉を、待っていたよ、千鶴」
ニィと笑って、父さんが千春を離す。
――信じられないことに、千春は拗ねたような顔で父さんを見ていた。
「ちょっとお父さん。これ高かったのに無理矢理脱がせるから、のびちゃったじゃない」
「すまないな。まぁ、お前への約束のお小遣いで新しい服が買えるだろう?」
「まーね。彼氏が肩の開いた服をご所望だからそれ買うわ」
目の前の会話は、俺にとっては異世界のものに見えた。
何故、今の今まで父さんに怯えていた千春が、父さんと親しげに話しているのか。それに、約束のお小遣いとは何なんだ。
俺の視線に気付いた千春が、にっこり笑う。
俺には、悪魔の笑いにしか見えなかった。
「ごめんね?お兄ちゃん。お父さんがお兄ちゃんを言うこと聞くようにすれば、お金一杯くれるって言うからさー」
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