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高い波が船体に当たり、水しぶきが部屋の窓に叩きつけられる。
同時に強い風も吹き出し、船を更に揺らし、激しく揺れ動く。
その風にのって、王子が聞いた歌声はますますはっきりと聞こえてくる。
「キャーー!!
王子様、恐いですわ!!」
女が床にふさぎ込み、王子に必死に助けを求めた。
だが、王子の耳には歌声しか聞こえていないのか、女には見向きもせず、ドアを開け、声のする外に向かっていった。
「えっ?王子様!?
私を置いて何処へ?王子様!!?
キャーー!!」
女は恐る恐る立ち上がり、窓際から王子が向かう先を見つめていた。
「なんて美しい…。
先程の声は空耳ではなかったんだ。
一体、何処から聞こえてくるんだろう…?
この声の持ち主はどんな人だろう…?」
フラフラと船内を歩く王子を見かけた船長と船員は、慌てて王子に駆け寄り、部屋に戻る様に伝えた。
「王子!危険です!!
天候がだんだん酷くなってきてるので、部屋にお戻り下さい!
海に投げ出されます!!
それに、セイレーンの歌を聞いてはいけません!!
今、耳栓を渡しますので、早くこれをして部屋へ!!」
船員達は、急いでロウソクを垂らして耳栓を作り、セイレーンに惑わせられない様にと王子に渡そうとした。
だが、王子はその手を振り払い、まるで取り付かれたかの様に歌声のする方へ…。
船員達の静止を無視しフラフラと歩く。
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