261人が本棚に入れています
本棚に追加
人魚達に王子は聞くと、人魚達は大粒の涙を流しながら答えた。
「彼女ならいないわ。
海に帰ったのよ……。」
『海に帰った』との答えに、王子は踊り子は人間では無いと驚いた。
王子の知っている踊り子は、人間そのものだった。
しかし、人魚達が話す『帰る』とは、元の場所に帰る…つまり海の生き物という事なのだ。
「海に…?
なら、君達の仲間なのか?
僕に会わせてくれないか?
もう一度、彼女に会って、きちんとお礼が言いたい!!」
人魚達は「今更…」と思いながら、吐き捨てる様に王子に言う。
「二度とあの子には会えないわ。
ええ、今後、誰もあの子には…
永遠にね…。」
悲痛な表情を浮かべながら話す人魚達に、王子は困惑していた。
何故、人魚達は悲しんでいるのか解らないのだ。
「全て愚かなあなたのせいよ!!」
今度は空からセイレーンが王子の真上で叫んだ。
「お姉様!!」
人魚達は一斉にセイレーンになった姉に目を向けた。
「僕のせい?一体僕が何を?」
人魚達と同じ様に見上げる王子に、セイレーンは、王子のあまりにも無知な言葉や質問を聞いて、怒りで今にもかぎ爪で襲い掛かる勢いだった。
セイレーンは怒りを堪え、静かに話し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!