第1章

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人魚達に王子は聞くと、人魚達は大粒の涙を流しながら答えた。 「彼女ならいないわ。 海に帰ったのよ……。」 『海に帰った』との答えに、王子は踊り子は人間では無いと驚いた。 王子の知っている踊り子は、人間そのものだった。 しかし、人魚達が話す『帰る』とは、元の場所に帰る…つまり海の生き物という事なのだ。 「海に…? なら、君達の仲間なのか? 僕に会わせてくれないか? もう一度、彼女に会って、きちんとお礼が言いたい!!」 人魚達は「今更…」と思いながら、吐き捨てる様に王子に言う。 「二度とあの子には会えないわ。 ええ、今後、誰もあの子には… 永遠にね…。」 悲痛な表情を浮かべながら話す人魚達に、王子は困惑していた。 何故、人魚達は悲しんでいるのか解らないのだ。 「全て愚かなあなたのせいよ!!」 今度は空からセイレーンが王子の真上で叫んだ。 「お姉様!!」 人魚達は一斉にセイレーンになった姉に目を向けた。 「僕のせい?一体僕が何を?」 人魚達と同じ様に見上げる王子に、セイレーンは、王子のあまりにも無知な言葉や質問を聞いて、怒りで今にもかぎ爪で襲い掛かる勢いだった。 セイレーンは怒りを堪え、静かに話し始めた。
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