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姉達は、ポセイドンに人魚姫の一連のいきさつと結末を話しました。
「王よ、我らの父よ。
貴方の可愛い人魚姫が人間ごときに殺されたも同然な報いをうけ、このまま見過ごしてしまうつもりでしょうか?」
「可哀相な人魚姫…。
さぞかし無念だったでしょう。
大きなリスクを背負ってまで頑張ったのに…。」
姉達は、怒りと悲しみで、目を真っ赤にさせながらポセイドンに訴えかけました。
「………。」
ポセイドンは、深くため息をつきながら、しばらく腕を組み、考え込みました。
「何を迷われているのですか!
それでなくとも人間達は私達の生きる世界を汚し、揚げ句の果てには埋め立て、領土を奪ってきた!
これまでは我慢してきたけれど、私達の家族が人間のせいで亡くなるとは…」
「ならば問う。
何故、人魚姫は憎きはずの人間になろうとしたのだ?」
姉達の怒りの叫びを遮るかの様に、ポセイドンは静かに問いかけた。
「そ…それは………。」
先程までとは打って変わり、姉達は皆、下を向き、ボソボソと口ごもった。
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