第1章

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海の魔女の住み家にたどり着くと、まるで姉達が来るのを知っていたかの様に待ち構えていた。 「今度は何を願うんだい?」 ニヤニヤしながら話す魔女に、姉達は怒り気味に言った。 「あなた、こうなる事を本当は知ってたんでしょ? だから、人魚姫にあんなリスクの高い交換条件を…。 自分は特して相手は損して…。 まるで人間と同じね!!」 すると、魔女はため息まじりに首を横に振り、姉達に言った。 「あんな下等なものと一緒にされるとは…。 お前達、目玉も心も曇ってるんじゃないかい? 私は材料さえ揃えば、何でも願いが叶えられる『海の魔女』だよ? 一人では何にも出来ない、平気で嘘をつき他人を傷つける、あんな汚れたものと同じとはねぇ…。」 確かに…と姉達は一瞬思ったが、材料が無ければ同じだと、魔女に詰め寄った。 「やれやれ…。 最近の者達は、屁理屈で自分の考えを押し通す様だ…。 お前達、ここに来たという事は、叶えて欲しい事があるんだろ? 今回は特別に聞いてやろうじゃないか。」 姉達が喜びながら顔を見合わせていると、魔女は更に付け加えた。 「ただし、願い事を叶える代わりに、人魚姫が恋した王子を持って来るんだよ? そうだねぇ…生死は問わないよ。」 ニヤリと笑う魔女に、姉達は、 「その条件、確かに聞くわ。 私達の願いを聞いてくれるなら。」 姉達は、早速、魔女に願い事をしました。 願い事はただ一つ。 必ず王子と女を苦しんで死なせる事。
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