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「それじゃあ………これが良い!
これを持って行きな。」
姉達に手渡されたのは、またもや小瓶に入った飲み薬……。
「これ…人魚姫に渡した物じゃ…」
姉達は、魔女を睨む様にして聞いた。
「そりゃぁ違うよ。
これは『セイレーン』になる薬さ。」
姉達は首を傾げ、自分達の願い事と関係の無い物を渡され、いぶかしげに魔女に聞いた。
「セイレーンと言えば、歌声で人々を狂わせるという…でも、何故セイレーンに!?」
魔女は又ニヤリと笑いながら話す。
「お前達、いくらポセイドン様にお願いして、海を荒れ狂わせる位じゃぁ人間は死なないだろ?
なかには助かる者もいるだろ?
船は頑丈だからねぇ…。
だけどね、セイレーンの歌声は聞いた者を狂わせる。
歌声を聞いて飛び出した者を海に引きずり落としでもしない限り、お前達人魚は手出し出来ないだろ?
これは一人分しかないから、お前達の中の一人がセイレーンになるんだね。
まぁ…二度と人魚の姿には戻れないけどもね!」
1番年上の姉が迷わず、魔女の手から受け取った。
「かまわないわ。
あとの事は妹達に任せるわ。」
早くしないと暗くなってしまう…と姉達は魔女の所から離れ、再び王子の乗る船に急いで泳いだ。
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