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これから自分達が大変な事が起きるとはつゆしらず、王子は女とイチャイチャしていた。
「ねぇ、王子様…。私、もう早く陸に戻りたいわ。」
女は目を潤ませながら王子にしな垂れかかる。
その女の肩を抱き寄せ、王子はキスをし、女に熱い視線を送りながら話す。
「そんな事…この海は僕達が出会う運命をくれたんだ。
…そうだ!
あんな激しい波風から僕を助けた時の君の話をじっくり聞きたいな?」
「えっ!?
あぁ、そ、そうね。あの時は大変でしたわ。
空も海も荒れ狂って……ねぇ、この話は陸に帰ってから話ましょう?
私も思い出すと恐くなりますわ。」
女は急に焦りながら下を向き、顔を覆い隠した。
その様子を、王子は何の疑問も持たず、震えて涙ぐんでいると思いこんだ。
「そうだね…。
あの時は、僕は気を失ってたから、あまり覚えてないから…そんなに酷い状況だったんだね。」
王子は女を抱きしめ、再びキスをしようとした瞬間……
ガターーン!!
外で大きな音と共に、船が揺れ始めた。
その拍子に二人はバランスを崩し、床に倒れ込んだ。
「ちょっ…!!
いったい、なんですの!?」
「少し様子を見て来るから、君はここに待ってるんだよ?すぐに戻るから。」
王子は女に「心配ないよ」と言い、部屋を出て船長の元へ向かった。
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