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「いやぁ…それが……。
さっぱりわたくし共にも…。
岩にぶつかった形跡もなく…。
船自体も何処にも損傷した所もありませんでしたし…。
あ…、そうだ!
あの踊り子さん!!
踊り子さんの姿が船のどこにも見当たらないんですよ。
捜しているんですが、船が揺れる前から誰一人見ていないと言うんですよね。
確かに一緒に乗っていたし、夜遅くまでは甲板にいたのを見かけたと言ってた人もいたんですが…。」
踊り子が行方不明との話を聞いて、王子は少しうなだれた。
「……そう。
実は、彼女の踊りは、僕、物凄く好きだったんだ。
話せない分、いつも笑顔を見せてくれて、明るい気持ちにさせてくれて…。
一緒にいると癒されるというか…。
だから、今回も一緒に船に同行させたんだけど。
そういえば、あの印象的なキラキラした瞳は、僕を見つめる時に何かを伝えようとしていたなぁ…。
彼女が文字が書けるか話せたら…。」
王子はもう一度、踊り子(人魚姫)がいないか、船をよく調べる様に船長に伝え、女の待つ部屋に戻って行った。
その頃、姉達は船の下にいた。
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