第一章

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不意におかしな感覚に襲われた。 これだけ期待されていたのに、それを投げ出した。 するなと言われたことを隠れてするときのような 罪悪感とそれを大きく上回る高揚感。 静けさの中でカツンカツンと音を響かせながら階段を降りていく。 別にエレベータでもよかったが、どうせ目的地はB2である。 それとなんとなく歩きたかった。 地下二階に着いて、もう一度カードキーを通す。 ピッと軽い電子音が鳴りロックが外れる。 ドアを開けるとその風で埃が舞った。 流石にこの部屋までは掃除されていないようだった。 当たり前だ、ここは僕の研究室なのだから。
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