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不意にミクリアがいなくなった。
とはいっても、視界から外れたのではなく
今まで動いていた彼女が急に止まったので見失っただけであるが。
彼女は少し離れたところでしゃがみこんで、僕を見ながら手招きしている。
その無邪気な笑顔は僕には年より随分と若く見えた。
彼女の元へいくと目の前には一輪の赤い花があった。
「これ、なんて名前の花なのかな?」
僕に尋ねたようだが、僕は花について詳しく知らない。
たとえ精通していたとしても、こんな町外れにある花なのだから
しっかりした学名が付いているかさえ怪しかった。
「わからない。名前なんてあるのかな」
「名前が無いなんてかわいそうね」
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