プロローグ

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そして僕が相槌を打つ前に 「リンって名前にしよう」 とも付け加えた。 どうやら僕には同意しか求めていないようだ。 どうだ、といわんばかりの顔を貼り付けた彼女を見れば 一言で断るのは忍びない気がするが、 ここは僕も退いてはいられない。 「なんか僕の名前に似ている気がするんだけど」 「あら気に入らなかった?アレンくん」 と言ってクスクスと笑っている。 「いいじゃないの、妹みたいでかわいいでしょ?」 そう言って手に持った枝で何かを書き始めた。 「花って、冬になって枯れたとしてもまた春になったら芽が出る。 こんな何もないところで独りで咲き続けるのは寂しいでしょう? だから私達の輪に入れてあげようよ」 彼女の手元には、「輪(リン)」と書いてあった。
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