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『♪~』
メールを送信して、少し緊張しながらも返信を待っていると、メールの着信音ではなく、電話のコールが鳴った。その音にまず驚いて起き上がり、そして相手を確認するとすぐボタンを押して耳に当てる。
「小十郎さん?」
「…ぁ…、」
「…どうかしたのか?」
「…すまない…こんな遅くに」
「いや、別に…プラモ作ってたからよ、起きてた」
「そうか…」
若いな、と軽く笑うと、プラモのためならオールも出来るさ、と笑っていた。
嬉しい、と自然と笑みが浮かぶ。先ほどまで寂しくて仕方がなかったのに、電話して声を聞くだけで安心出来る。
「で?小十郎さんは?」
「…少し寝れなくてな、」
「珍しいな」
「最近はこんな感じだ…少し、布団の中が寒くて」
「で、今すぐ来て欲しいんだろ?」
「…ん」
「少し待ってろ、今から家出るからよ」
「…分かった、」
じゃあ、と電話を切る。坊やが来るなら、鍵開けておかないと…とベッドから降り、寝室を出る。真っ暗な廊下に電気を点けて、玄関に向かって戸の鍵を開けておく。
『ピンポーン…』
待つこと数分、柔らかな音調のインターホンが鳴る。瞬間、玄関へと飛び込んで戸を開けた。
「よォ」
「…坊や、」
呟いて堪らず抱き着いた。驚き固まっている相手を玄関に入れ込んで、鍵を閉める。
ああ、暖かい。
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