プロローグ

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なぜなのか、今の俺にならわかる。君は何をしているときでも、必死で自分自身でいようとしただけなのだ。君は真実を知っていた。 命は火の付いた導火線で、一つひとつ問題の答えに対してためらっている余裕など本来ならば誰にもないはずなのだと。 君を一刻も早く手当てをしてあげないといけないのに。足が震えてあまり動かない……。 君を助けるために、それだけを頼りにして俺はもと居た場所から一歩二歩とゆっくりと足を進めていった。 「ティティア?ティティア?」 独り言のように言葉を繰り返しながら、腕に抱かれた君を見る。 もとより暮らしていた国が同じ、顔だけを知っているだけの間柄だった二人だ。ただ、同じ場所で同じ目的に向かううちに俺が勝手に想いを寄せていただけにすぎない。 君の気持ちが誰に向いていたのかも知ってた。だからこそなのだろう。君の体を抱き上げていても、思ったほど動揺はない。
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