心理、狼

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フードを目一杯被って通りすぎようと駆け抜けた一瞬、突然すごい力で腕を引っ張られた。 足を滑らし固い床に叩きつけられる。 何が何だか分からず混乱している俺に、横腹と筋が変になった腕の痛みが襲ってくる。 痛みと混乱で目眩を起こしながら見上げると女がいた。 ここの学生か。 多分そうだろう。 花柄のシャツワンピースにジレ、白い肩まで伸びた軽くパーマのかかった茶髪に長い睫毛。 格好は今時の流行りの女の子と何ら遜色ないが纏う雰囲気はどこか普通と違っていた。 この女がこんな時間でひとりでこの場所にいること自体が不自然で、さっきの力は小さくて華奢な体のどこから出たのか。 考えすぎて何も言えない俺を引っ張り起こしては優しく笑って言った。 「ついてきて」
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