君は少しも悪くない

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-紅side- 太陽も姿を隠し、薄ぼんやりとした月が顔を出し始めた 日曜日の今日、何時ものように貴方は行ってしまうと思っていたのに 何を思ったか珍しく俺に口付けなんてしてきた。 静かな部屋に響く水音や荒い息遣い 感じる事しかできない俺は、 貴方の舌を追って 名を呼んで 抱きしめて、しがみついて 必死に貴方を、貴方の心を此処へ引き留めようとする かな、 何を考えているの? ‥貴方が唇を重ねているのは俺だよ かな、 誰からの着信を待っているの? ‥携帯じゃなくて俺を気にしてよ なんて、どんなに貴方の心を掴もうとしても結局は プルルル プルルル テーブルの上から鳴る無機質な音には敵わない事を何度も経験しているんだ 感じさせるだけ感じさせといて、さっさと唇を離し携帯へ走り寄る貴方の恋人は確かに俺なのに。 携帯越しの彼に微笑む嬉しそうな顔は俺に向けられる事はない。 電話の音、 それは終了の合図だ 心の繋がらない恋人の役はもう終了。 貴方の心の持ち主が貴方を返してと呼んだその瞬間から、 貴方にとって俺はその辺に転がってる石コロみたいに見向きもされない 俺はただ、嬉しそうに話す貴方を黙って見詰めていた 「俺、出掛けてくるわ」 ぼぅっと突っ立っていたいた俺に届いた、 エコーが掛かったみたいに遠くから聞こえた貴方の声 ‥こんなにも近くにいるのに 「いいよ」 手を伸ばせば触れられる距離 その距離が果てしなく遠く感じるのは何故なんだろう? -
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