プロローグ

3/6
前へ
/243ページ
次へ
周りを通る人間の数も徐々にだが、減っているのが解る。 「あ、純! あそこ行こうよ!」 そう言って水月が指さしたのは、喫茶店。 この桜並木に建つのにぴったりな華やかな外見をしている。 看板には「桜並木」と書いている、今の季節に合っているな、と純は考えた。 だけど、桜が散ったらどうするんだろう。 純が喫茶店の外見を見ていると、いきなり水月に腕を引っ張られた。 「ねえ、いこうよ!」水月の黒い瞳が輝いている。 それに水月の華やかな笑顔が合わさっている。 破壊力抜群だ。 どうも断り辛い。 端から見れば、仲良しの恋人同士に見えるだろう。 最終的に、純は水月の誘惑に負けてしまった。 やはり、水月の笑った顔には勝てない。 どうも自分は水月に逆らえない、と純は思った。 そんなこんなで純と水月は今「桜並木」のオープンテラスの席に座っている。 ここからなら桜が良く見える。 立地条件としてはこれ以上の場所は無いだろう。 純と水月が桜を見ていると、ウェイターが2人分の水の入ったコップとメニューを持って来た。 ウェイターは2人に営業スマイルを振り撒いている。 純と水月はメニューを開いた。 そこには、サンドイッチ、コーヒー等を始め、パスタ、ピザ等のイタリア料理も入っていた。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

178人が本棚に入れています
本棚に追加