178人が本棚に入れています
本棚に追加
周りを通る人間の数も徐々にだが、減っているのが解る。
「あ、純! あそこ行こうよ!」
そう言って水月が指さしたのは、喫茶店。
この桜並木に建つのにぴったりな華やかな外見をしている。
看板には「桜並木」と書いている、今の季節に合っているな、と純は考えた。
だけど、桜が散ったらどうするんだろう。
純が喫茶店の外見を見ていると、いきなり水月に腕を引っ張られた。
「ねえ、いこうよ!」水月の黒い瞳が輝いている。
それに水月の華やかな笑顔が合わさっている。
破壊力抜群だ。
どうも断り辛い。
端から見れば、仲良しの恋人同士に見えるだろう。
最終的に、純は水月の誘惑に負けてしまった。
やはり、水月の笑った顔には勝てない。
どうも自分は水月に逆らえない、と純は思った。
そんなこんなで純と水月は今「桜並木」のオープンテラスの席に座っている。
ここからなら桜が良く見える。
立地条件としてはこれ以上の場所は無いだろう。
純と水月が桜を見ていると、ウェイターが2人分の水の入ったコップとメニューを持って来た。
ウェイターは2人に営業スマイルを振り撒いている。
純と水月はメニューを開いた。
そこには、サンドイッチ、コーヒー等を始め、パスタ、ピザ等のイタリア料理も入っていた。
最初のコメントを投稿しよう!