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海の上はもう日、太陽というものが沈んでいて。空というものには星というものが浮かんでいた。
少しだけ海の中に似ていた。
辺りを見回す。
遠くには大きな船が海の上を歩いていた。こんな日にあの人魚姫は恋をしたのだと考える。
「嵐になんてならないだろうな、…わたしは恋はしないぞ」
独り言をぽつりと言う。
穏やかな風。嵐の前の静けさ、なんて。
あの人魚姫も感じたのだろうか。そんなことを。
岩場に腰をおろす。空にはひとつだけ、やけに大きな星が瞬く。
「…やけに大きいな、あの丸いのはなんだ?」
「月だよ、それは」
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