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華やかな会場。
色とりどりのドレス、彩りを引き締める黒のスーツやタキシード。
わたし、はなびはコサージュの上にチュー太を乗っけたまま会場に入った。
「わー、いっぱい人おるなぁ。なんやあれ、鳩がおつまみ豆食べとる」
目つき悪。猛禽類みたい。
怖いのか、チュー太は身を硬くしている。
時々、変なものを見かけるが、大抵は和やかに談笑している。
「はなびさん、こんにちは」
知らない人から声を掛けられ内心ドキドキしながら会場を歩く。
どこかのお姫様らしき人にメイドがひっついている。…ぜひ声を掛けたいな。
関西弁の怒声が聞こえるが、気にも止めず歩く。
『ドコイクノ』
チュー太が話しかけてくる。
「ん~まだあんまり目立ちたないしなぁ」
ふと、ホテルマンたちの控え室が目に入った。
…私はにやりとしてその中に入った。
中には、制服がたくさん掛かっている。
その中からドアマンの衣装を選ぶ。
『グエッ』
チュー太をポケットにしまい、帽子で顔を隠して、私は通用口から外へ出た。
通用口の脇には、大量のオレンジいろのカボチャが積んであった。
なんやろこれ。
チュー太が物欲しそうな瞳でキラキラとカボチャを見つめていたが無視。
その時、ものすごいタイヤの音が、玄関ロータリーから聞こえてきた。
私がそっと玄関にでると、目の前で、黒い車が華麗に止まった。
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