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事件が起きたのはとあるカラオケボックス。
メンバーで集まっての定例会でのことだ。
「相沢さん、ホラッホラッ」
小突くように背中を押す二人に歩を進めさせられながら、相沢は叶の隣にそっと座る。
男達も何気ないそぶりで相沢の横を陣取り、視線だけを叶に移した。
「やっぱり! 相沢さんやっぱりですよ!」
少し興奮気味に耳打ちする男に促され、相沢もチラリと叶に視線を移す。
「なっ……!」
思わず驚いた相沢の声で、周りの仲間達が一斉に相沢に注目した。
二人の男達は顔を伏せ、絶望感を漂わせている。
「兄貴!」
しかし相沢は周りを気にもせず、叶の胸ぐらを掴んで声を荒げた。
瞬時に辺りには凍ったような空気が流れ、誰ひとり言葉を発する事も出来ずに呆然としている。
「なんやトモ……こんなところでいきなりヤル気か?」
楽しい空気を壊され、少し機嫌の悪くなった叶は相沢を鋭く睨む。
が、すぐに叶は眉をあげて相沢の顔を覗くように見つめた。
「トモ……?一体どないしたんや?」
掴まれた胸元辺りから、相沢の小刻みに震える手の振動が伝わる。
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