2/9
前へ
/369ページ
次へ
文久三年。 季節は少しずつ移り変わり、京の都を桃色に染めるような、暖かな風が肌を撫でるような。 優しくも柔らかい季節になろうとしていた、ある一日だった。 京の都は迷いやすいと、よくいったものだ。 京とは区間が整理された町。 整理されているからかなんなのか、脇道がやたらと多い。 そのせいで京は初めて来た者や不慣れな者を迷わせる。 京が初めてなわけではない。 だが不慣れな為あって、京の都は一人の女を迷わせ絡めとってしまったーー。  
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2994人が本棚に入れています
本棚に追加