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「た、助けて!!」 乱れた息に邪魔されつつも、女は力の限りの声を出した。 高い声に振り返った影が二つ。 一つは大きく、一つは少し小さく。 手にした提灯の灯りは朧気だが、女からしたら明とした希望。 冷えた腕を必死に伸ばし、二つの影のうちの一つ、大きな影の提灯を握る手の腕を掴んだ。 「お願い……します!! 助け……助けて、ください!!」 渇きからか声が喉に張り付くも、必死に、ただ必死に声をあげれば、縋るように腕を掴まれた男は女の後ろーー狭い通りが作る闇に目を向けた。 気配が、する。 少々目尻に皺のある目元を細めながら、提灯を持つ手とは逆の手にあったものをパチンと、高い音をたてて閉じた。 「……新見。来るぞ」 「のようで」 大きな影は自分よりも小さな影に言葉を投げれば、新見と呼ばれた男は闇を睨みながら腰のものを抜いた。 提灯を地面に起き構えられたそれは、月明かりと提灯の灯りに照らされて不気味な光を弾く。 お侍だ。 女は刀だと悟ると心臓に嫌な音をさせながら、二、三歩後ずさった。 闇から影が一つ、二つ、三つ……五つ吐き出された。
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