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ジェイは言葉を失い、口が何か言おうと開きかけたまま止まっている。
「あいつが仲間になった時、ボスからエフがヤバくならないように、孤立しないように見ててくれって言われたんです。ボス自身が近寄ると怖がるから。あの時は仲間内の唯一の女だったから色々……あるかもしれないからって。
あんたには、頼めなかったんだろうね」
ジェイの視線が刺さる。片足にかけていた体重を、もう片方に移してアイは立ち直した。
「ボスは悪かったって思ってるし、あいつに謝りました。あいつもそれはそれだから仲間になった。
ボスは、あんたにはこんなこと言えないだろうからおれに頼んだ。
エフはボスを恐れて、でもボスの力を崇拝してる。それだけです」
ジェイは立ち上がりこそしないものの、体はアイに向いており詰め寄らんばかりだ。
「まあ、ボスの様子とエフの怯え具合からして…、ボスはかなりのことをしたようですけど」
しばらくそのままジェイを見下ろしていたが、何も言ってこない。
疑っているように思った。
「エフはずるい女ですよ。仲間になったのにボスのことだけ引きずって。金髪の女なんて、多かれ少なかれそういうことはあるだろうに」
「おい……!」
ジェイに足を掴まれた。
驚いて丸くなっていた目が、睨むようにつりあがっていた。
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