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ディを失った痛手もあるので、多少塞いでいるのは仕方ないと思う。何か困っていることがないかとか、傷の具合はどうかとか、気になることはたくさんあったが、一切とりつくしまがなく何も掴めない。 気がつけばあいさつすら数日に1度という頻度になってしまった。 人手が増えたので、洗濯や炊事をする人間もエフ以外にいる。ジェイ身の回りの世話には、本当に関われなくなっていた。 とはいえ掃除する場所は増えているし、食事の量は相対的に増えているので仕事は減っていない。 忙しいのに、そばにいられないほどジェイの姿を探すようになってしまった。 威圧感を増したルーイには、特に若い者や新入りは近寄り難さが増した。その分気さくでフランクなジェイが慕われ、ジェイのまわりにはいつも人がいた。皆に慕われる人あたりの良さを見ているのに、その輪に入れない。 いつしかルーイの指示や仕事の話も、ほとんどジェイ以外から知らされることになっていた。 ジェイ以外の人が冷たいわけでもそっけないわけでもない。ただ、完全にエフはジェイから遠ざけられてしまったと思い知った。 遠くから、新しく仲間になった若者に囲まれたジェイをながめる。 「ジェイさん! 栗、栗食いましょ!」 「おお……いいな、行く」 少年のような新しい仲間が、無邪気にジェイの腕を引く。外で焚火を囲む集団に混じり、談笑が始まる。 エフはそっと近づくと、そばの茂みに身を伏せた。ジェイが元いた集落の人間も、数人混じっているようだった。 (なにしてるんだろ、あたし。あたしが、嫌っていったのに…) 自分に少し腹を立てながらもエフは話に耳を傾けた。熱い栗の皮を剥きながら、無邪気な喧騒が響く。  
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