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「おれ、あんまり覚えてないんスけど、集落いた時のボスってあんなふうではなかったスよね……あつっ」 熱さに放った栗を、ジェイがうまくキャッチした。 「まあな、できるだけ目立たないようにしてたし。ほら」 シャツの裾で熱さを遮り、ジェイは剥けた栗を元の仲間へ放った。 「あざス♪ 目立たないってもなあ、あんな人がフツーに泥まみれになってたとは……ぜんぜんわからなかったわー。うま♪」 ほくほくの栗に顔を綻ばす少年に、ジェイは笑みをもらした。別の仲間が口を開く。 「おれたちの中心はジェイだったしな」 ジェイは何も言わずに焚火の中から栗を探っていた。また別の仲間が口を開く。 「おまえは有名だったもんな」 「そお?」 「身を削っておれたちをまとめてくれてたのはおまえだからな。おまえと寝てみたいと思ってたヤツは結構いるんだぜぇ?」 茶化すように言ったのはジェイが元いた集落からついてきた仲間のようだった。けらけら笑ってジェイの肩を叩く。 ジェイは口元だけで笑っていた。 「それしか生きる方法なかったからな」
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