突然。

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「えっ、うそ!?今なんて…?」 あたしの聞き間違え、そう思いたくて、お母さんにもう一度聞き返した。 「だから、お父さんが出世したから、転勤になったのよ!樒柑も準備しなさいね。」 何度聞いても答えは同じ。 お母さんは自信満々に転校のことをあたしに告げた。 せめてあと一年、最後の中三ぐらいは友達と一緒に過ごしたいのに…。 「…どうしてもなの?」 「樒柑一人で残る?」 「………やだ。」 「でしょ?樒柑だけ置いていくなんてできないし…、だからと言ってお父さんを単身赴任させるのも…。」 「あっ、そうだよ!単身赴任じゃダメなの!?」 お母さんは一瞬、困ったように黙りこんでから、こう言った。 「お父さん、単身赴任するくらいなら出世取り消しにするって言うのよ。」 …なんてわがままなお父さんなんだ…。 あたしは思わず、ため息をついてしまった。
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