~既望~

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私の担当の看護師さんに彼のことを聞いてみた。「中里くんなら知ってるわよ。彼イケメンだし性格いいし、看護師のなかだとけっこう有名人。もしかして惚れちゃったかな?」と楽しそうに話す。「うーん。惚れてるといえば惚れてるかも」「あら。じゃぁ競争率も高いし頑張らなきゃね」と楽しそうに病室を出ていった。どの年代になっても色恋沙汰は好きらしい。「私が恋なんてするはずないのに」と呟いてみる。私が惚れてるのは彼の異質性。元気なくせにあんな目をしているやつなんて大嫌いに決まってるじゃない。これで彼が普通のクズだったら私殺しちゃうかもね。 次の日も彼はお昼休みの時間にきてくれた。しかし今日は私の担当看護師を引き連れて。「もう知り合いになってるなんてなかなかやるわね。でも看護師って意外と大変なんだからあんまり無理言っちゃダメよ。」とかとにかくおしゃべり。でも彼は昨日より楽しそう。自分で話す必要がないからだろう。私も彼を見習ってニコニコする。担当看護師が部屋を出ようとすると彼も一緒に出ようとした。やっぱりね。とりあえず「明日もきてくれる?」とかかわいく聞いてみる。「明日は休みで明後日は夜勤だからしばらくこれないかな」ふーん。まぁしょうがないか。
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