8人が本棚に入れています
本棚に追加
ガラン。
「いらっしゃい佐久さん。今日は松茸が入ったんだよ。焼き松茸なんてどうだい?」
季節も山を赤く染め、次第に街の人も色とりどりに服を着始めてきた。山の恵みが我々の舌を心を楽しませてくれる。
「松茸の季節かぁ。今日の締めに最高だな。できたら今日は熱燗もいれてもらおうかな。」
「じゃあ私もあったまろうかな。大将熱燗お願いね。」
「姫様のご登場だね。わかりましたわかりました、何本でも入れますよ。」
いつのまにか、やってきていた。さりげなく、おれの上着まで掛けてくれていた。
「松茸なんて秋まっしぐら。」椅子に腰をかけながら楽しげに話しだす美保ちゃん。
この子とは、なにを話しても花を感じる。薔薇のような美しさ、向日葵のような元気、ラベンダーのような癒やし、いや彼女はタンポポみたいな優しさや強さ、健気な感情を見てしまう。
「きっと山奥なら、キレイな赤が見れるんだろうね。」
最初のコメントを投稿しよう!