夜を感じて

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夜を感じて

今はこの夜を感じる。 いつもは明日ばかりを考え、そして、未来ばかりを、周りばかりを意識していた。今は、やっといい感じになったのかな。 この街に来てからは、何回目だろう。 今日はとても気分がいい。 少しばかりか、街の感じもかわりつつあるな。 いつのまにか、大きなシネマコンプレックスが中心となり、周りの景色は静かにその幕を閉じている。 ここも押し流されている。 しかし、誰にも流れを掌握しきれないものだ。 流れとは、人間並みに厄介な生き物だ。 オレも流れてきた。 しかし、自分の形式は変えることはなかった。 正の成果が、今の地位。そして、負の成果は仕事に生きてしまったこと。 お金には興味はない。ある程度あれば生きていけるのがこの社会だ。 欲を持てば、欲に制せられる。 力を持てば、力となる。 社の力は小さな国の経済力をも勝る。オレもその重役たるものとなった。大きなプロジェクト。異端児的発想。皮肉、賞賛。様々なものに飲まれ、研磨された。 人生に不足感がないということはありえない。 どこかで、欲が人を動かす。 しかし、今に幸福を感じることが人間の力点になりえるだろう。オレには仕事。これだ。これしかなかった。
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