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「‥‥それで、何からお聞きしたいですか?」
彼女は俺に紅茶とお茶うけにクレープを出してくれると、俺の向かいのソファーに座って小首を傾げた。
‥‥というか。
クレープだけじゃなくて‥‥三段の棚のようなものにはスコットやジャムが並び‥‥
ティーセットは舶来品のような洒落た陶磁器だ。
‥‥ここは日本か?
と思うような物がズラリと並び、頭上には落ちてきたら間違いなく死ぬような巨大シャンデリア‥‥
とても貧村とは思えない光景だ‥‥。
まぁ気を取り直して、俺は彼女の言葉を反復して考えた。
「‥‥‥‥そうだな‥‥。
まずはアンタの名前、それから、いつから親父と付き合ってたんだ?」
「‥‥名前は、宮沢 沙織です。
たか、貴司さんとは‥‥ずっと‥‥ずっと前です」
「ずっとって‥‥かなり曖昧だな。
んー‥‥じゃあ、最後に会ったのはいつなんだ?」
「最後‥‥
‥‥最後もずっと‥‥ずっと前です‥‥」
「ずっとって‥‥まぁこれだけ離れてればなぁ‥‥何ヵ月とか?」
彼女‥‥沙織は顔を横に振った。
「って‥‥じゃあ年?」
「そう‥‥ですね」
「ですねって‥‥」
流石に言葉を失った。
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